【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー当局は約2カ月間停止していたパスポートの発給を再開した。1月からシステム更新を理由に発給事務を止めていたが、2月24日に新システムで受け付けを始めた。2021年2月の国軍のクーデターに伴う国内経済の低迷で海外就労や留学のために出国を目指す人が急増しており、パスポートの申請が殺到している。
2月24日からオンラインでの予約受け付けを再開した。再開を待っていた人が申請手続きのためにアクセスしているとみられ、ウェブサイトはつながりにくい状態が続いている。
「介護分野の特定技能の在留資格で4月に日本渡航を予定しており、再開すると聞いてほっとしている」。24日、最大都市ヤンゴンのパスポートオフィス前に来ていた女性はこう話した。「日本は美しい国だと聞いているので行ってみたいと思っていた」と話す。
ヤンゴンにあるオフィスでは22年12月、発給申請に必要なオンラインでの事前予約の受け付けを停止。23年1月にはパスポートの発給自体も止まった。具体的な再開時期は示されず、申請希望者の間で不安が広がっていた。
休止前のパスポートオフィスでは連日長い行列ができていた。予約券の入手に多額の金銭を要求するブローカーが現れるなど混乱が生じていた。
日本の出入国在留管理庁の統計によると、22年のミャンマー国籍の入国者は約2万3000人。新型コロナウイルス対策の緩和を受け、同年4月から増え始めた。特定技能や技能実習で在留資格を得たケースが約半分を占める。
人材送り出しを担う企業関係者によると、円安や自国の所得水準上昇を背景にベトナムなどでは日本への渡航希望者が減り始めているという。人材の供給元としてミャンマーへの関心が高まっている。